諺から考える健康学 64

『一念天に通ず(いちねんてんにつうず)』という諺があります。 これは、「やり遂げようとする堅い決意さえ持っていれば、その意志は天に通じて不可能と思われることでも実現できるということ」の意味です。 先般、安全大国と言われていた我が国に、驚愕の事件が起こりました。 罪を犯した人は、悪い意味で一念を通じさせた、と言えます。 天は天でも、通じたのは悪魔の世界だったのでしょう。 「それだけの一念を貫き通せるなら、心のベクトルを逆転させて、善行を実現させれば良かったのに…」と、私は悲しく思います。 そのように導く人も、そのように考え改める機会も無く、ことに至ってしまったことに、とても悲しい思いが致します。 供述が本当なら、もともとは、「お母さんを愛して、そのお母さんが辛い目にあっているのを許せなかった」というところから始まったことでしょう。 愛の思いからスタートしたはずが、他の人を憎しむことにマイナス転換してしまった結果でしょう。 「憎」という字は、心を表す“りっしんべん”に“蒸気を発生させる器具の上に乗せた器から蒸気が沸いている姿”を表す“曽”という形をプラスしたものです。 大好きなお母さんや、家族が苦しむ姿を見て怒りが収まらずに、そちらへと向かってしまった、悲しい事例なのだと思います。 一念は、天に通じます。 仏教では、その天は、それぞれの心の状態によって三千世界に通じると言われています。 善界、悪界、様々です。 私たち、周りの人間は、 「心を統御すること、心の王者になること」 この大切さを、再認識する大事な機会であるのではないだろうか?と私は考えています。 皆様はいかがお考えでしょうか? 健康においても如り、であります。 「健康になる、病気を克服する」 という、強い一念があれば必ず天に通じて、実現してきます。 しかし、その健康である自分が、どのような心境で、どのような生き様を送るかによって、得られる結果は違ってくるものです。 病気というのは、このような観点から考えても、「いかに、日頃の心の状態をチェックすることが大切なのか」を、体験する良い機会でもあるのかもしれません。 「人を愛する」という原点。 ここからスタートしても、様々な条件によって、結果は変わってきてしまうのです。 この条件に当たるものが、「日々の心の状態」であるのですね。 『原因があって、条件が加わり、結果を生む』 これは、誰にでも平等に与えられいる真理であり、これを逃れることはできません。 日々、一瞬一瞬を大切に生きる、これが本当に大切なのではないか? と再確認している今日この頃です。 皆様は、いかがお考えでしょうか?