諺から考える健康学 44

『知ったが病(しったがやまい)』という諺があります。 これは、「知らずにいれば何もなくてすむのに、なまじ知ったために手を出して病みつきになり失敗するということ」という意味です。 昨今の報道の内容には、これを促すようなものが多すぎる傾向にある気がいたします。 今、世間を賑わし、また恐怖心を跋扈させつつある、オミクロン株の報道などは最たるものかと思います。 Twitterなどでも取り上げられていましたが、「オミクロン株の最大の症状は、寝汗、です」という報道がありました。 人間、普通に風邪をひいて、普通に過ごしていれば誰もが経験したことがある症状ではないのでしょうか? ウイルスは通常、変異が重なれば弱毒化していくことが多々あります。 今回のオミクロン株も、季節性のコロナウイルスにかなり近づいて来ているように感じられます。 「イギリスでオミクロン株で死者!」などの見出しがあれば、 「感染=死」的な構図が、印象付けられてしまいますよね。 そして、また過剰な行動が始まってしまいます。 通常の季節性のコロナウイルスでも当然、死者は出ていました。それはさておき、新型ばかりをクローズアップしすぎるのは如何なものか?と思います。 ちゃんと、季節性のコロナウイルスや、インフルエンザなど、重症になったり、死者が出たりなどのウイルスとの数の比較もキチッと報道するのが筋なのではないでしょうか!? また、今回のようなまだデーターも不足している段階では、 「まだデーターも集まっておらず、 ハッキリとしたことは言えません」 という報道だけで終わらせるのが、正確な報道機関の在り方ではないか?と、私は思います。 知らなくていいこと、知らなきゃならない肝心なこと、これがごっちゃになって伝わっているので、世の中が混乱しているだけのように感じられます。 誠意のない報道が、多数の国民に「知ったが病」をばら撒いているようにしか、私には思えません。 健康においても如り、であります。 ウイルス情報も、もちろん健康に関しての一つではありますが、他の癌や、膠原病や、その他の難病に関しても、この「知ったが病」のばら撒きはとても多いと思います。 数限りない、自称「何にでも効く○○食品」、「あらゆる不調が5秒で治る○○健康法」、「様々な痛みや苦痛に永遠にサヨウナラできる○○法」……などなど。 病気でも不調でもない方々が、これらの文言の虜になって、抱かなくても良い恐怖心や、穿った見方の西洋医学批判などに走ってしまっていることも多々見受けられます。 肝心な病気の成り立ちや、病理など正確な知識が伝わらず、インスタント医療専門家、健康専門家が本当にあちこちに現れている気がするのは私だけでしょうか? まさに、「知ったが病」ですね。 何故、医学部教育が6年もなされているのか、医療報酬が高く設定されているのか? アンチ現代医学の方々は、あまり考えた事はないのではないでしょうか?通常の学部より2年多く学び、単位数も多く、更に国家試験も難易度が高い。さらに、人の死というものの責任を負っている立場、ということでは当然のことだと私は思いますし、本当に西洋医学がおかしいのなら、とっくに消滅している医学であると思います。 現代医学にも、多々、難点があるのは私も認めますが、生活が変わり、人間の質も変わっている現在、完成形の医療など存在することは不可能です。これは、東洋医学でも同じです。 「これだけが正しい」という見方に固執すること自体が、既に病いに犯されているのだ、という事を知らなくてはなりない、と私は思います。 皆様は、いかが思われますでしょうか?